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陶芸を始めて 10年を経過しますが 陶芸の土(粘土)の持っている不思議な力を感じていました。これは 私たちの幼児体験からの「土遊び」にその原点があるのではないかと思っています。
日本には「芸術療法」という言葉があります。アメリカの「アート・セラピー」とはちょっとニュアンスが違うような気がしますが このコーナーではあえて「アート・セラピー」を使いたいと思います。
「アート・セラピー」は心理療法のひとつと言われており アート(陶芸・絵画・ペインティング・コラージュ・彫塑・オブジェなど)を使って様々な問題を抱えた対象者の精神的回復を助けるものです。・音楽・詩・運動・ダンス・などを使った療法はこれと区別されています。アメリカでは1930年代から使われるようになったと言われています。この「アート・セラピー」は 言葉で自分の心の中の葛藤やトラウマなどを表現しにくい対象者に対して特に有効であると言われています。堪えられないほどの精神的苦痛というのは 往々にして口には出せないものです。この様な中で 「土(粘土)を用いたアート・セラピー」は 人間の幼児体験からの原点であり土遊びにヒントがあるのではないかと思います。
「アート・セラピー(芸術療法)」のイメージは その考えや感情を具現化します。制作者(対象者)の内的世界と外的現実との間を橋渡しするのが アートのもつ力だと思われます。そこには「イメージ」が重要な役割を果たすことになるでしょう。
「アート・セラピー(芸術療法)」の中では 怒りや悲しみの複雑な感情が ごちゃまぜになって吐き出されることもあるでしょう。対象者がこの様な嫌な考えや感情を 自分自身の一部としてそれらを理解していくように 土(粘土)を通して手助けが出来ればと考えた訳です。
粘土は 順応性のある三次元の媒体という利点をもっています。形態は自由にあらゆる形に変えることができ 新しい部分を加えたり取り去ったりする事ができます。また色を塗ったり 他の多くの材料と組み合わせることもできます。器にしたり なかに紙や棒を入れて骨組みを作ったりもできます。更に粘土をこねていると身体の緊張をほぐし 感情の弛緩を助けることになります。このような点で 土(粘土)はストレス解消の最も力強い味方となるでしょう。
土(粘土)を使ったアート・セラピー(芸術療法)は とても身近な療法であるとおもいます。自分自身が作った陶芸作品は 自分自身が表現する作品として 簡単に何度でもやり直しが可能であり 満足した時点で作品完成となり その作品に限りない愛着が生まれます。完成までに窯焼きや釉薬かけなどの自分の技量以外の自然の流れの要素が入るということなどから 上手下手という評価を気ににせずに取組めるという安心感があるのです。
粘土を「ちぎる」「こねる」「叩く」「くっつける」などの動きは手の感覚や身体のリハビリになると同時に情動的な表現として対象者に活用することができます。そしてこれらの動きとともに粘土や窯や釉薬のにおいなど五感を刺激する要素は 他の療法にはない 自分自身が作った世界でひとつの作品を使う喜びがあることです。